準備期間

本選に用意された六日間の猶予期間。
いずれくる決戦に向けて、自己を鍛え、相手を知り、サーヴァントとの絆を深める時間。
この六日間を惰性に過ごしたマスターには『脱落』という名の死が訪れる。
モラトリアムとは、エリクソンが提唱した「人間が成長して、なお社会的義務の遂行を猶予される期間。また、その猶予状態にとどまろうとする心理』のこと。
残酷のようではあるが、この六日間を“成人への儀礼”とするムーンセルは公正の化身である。

一方、月の裏側において、ある少女はこう嘲笑う。
『貴方たちにモラトリアムなんて必要ありません。
ひとりきりのまま生きて、
ひとりきりのまま悩んで、
ひとりきりのまま自滅してください』
それは他人を必要としない、己だけの閉じられたループ世界の結末だ。

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