それ1が、かつて幽閉されていた世界。牢獄であると同時に心地よい胎盤でもあるのか、自由になった後も、それは外の世界を傍観し続ける。かつてそれが想像した数多の“願い”は、この聖堂にあるものをモチーフにして生み出された。それが憧れ、恋した唯一の外界は朱色の月のみであり、以後、月をモチーフにした想像はタブーとされた。