ユグドミレニア

通称「千界樹」。北欧に端を発する魔術師の家系である。特色として、魔術刻印が極めて薄いということが挙げられる。薄い、というよりはほとんど存在しないに近い。通常、刻印は血を繋いだ魔術師が後継者であるという証であり、次へ次へと繋いでいくもの。刻印の株分けをすることもあるが、基本的には近親者のみに限られる。
ところがユグドミレニアはその名の通り、長い年月を掛けて薄く薄く根を伸ばしていく———つまり、刻印そのものの機能を大部分喪失させ、「ユグドミレニア」という名ばかりの血族が増える方を選んだ。重要な点は、この刻印には赤の他人であろうが他の刻印を移植していようが、まるで腕に貼り付けたシールのように簡単に移植が可能ということである。
この刻印の機能はほんのわずかな同調観念と、「ユグドミレニア」に連なる者であるかどうかの判断が可能なだけ。あらゆる特殊性を喪失して、最後に残った普遍性こそがこのユグドミレニア一族の異常な増殖に繫がった。
魔術回路が衰退しつつある一族、刻印を事故で失った一族、政争に敗れた一族、そういった魔術師の世界から弾き出されそうな一族たちを集めて、ユグドミレニアは膨れ上がった。
もちろん、それで魔法に到達しようが、あるいは根源に至ろうが、決してユグドミレニアへの賞賛になる訳がないのだが———ただ「名を残す」という我欲を突き詰めたのが、彼らユグドミレニアという薄い血族の証なのかもしれない。
実のところ、「Fate/Apocrypha」の世界では相当数の魔術師が水面下でユグドミレニアに組み込まれている。亜種聖杯戦争を起こしているのも、ユグドミレニアに連なる魔術師たちが多い。それは言うまでもなく、聖杯戦争のデータを集めるためであった。
現在のリーダーはダーニック・プレストーン・ユグドミレニア。原作終了後のリーダーは、カウレス・フォルヴヴェッジ・ユグドミレニア。

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