月の裏側に颯爽と現れた後輩系デビルヒロイン。
悪魔の尻尾を隠しつつ教鞭片手に月の裏側を奔放自在[ほんぼうじざい]、神さま気取りで今日もSE.RA.PHを違法改造しまくっている。
CCCを起こした暴走AI。
桜と同型機の管理AIだったが、バグにより自己保存の命令系統が暴走。ある理由から『何を犠牲にしても自己保存を続ける』結論に至り、NPCたちやサーヴァント、マスターたちを取り込み、成長し続ける怪物になってしまった。
「人間は嫌い」と公言し、主人公たちを月の裏側に引き込んで苦しめる。
一人称は「わたし」。
主人公はセンパイと呼ぶ。人間には名字にさん付けで、サーヴァントは呼び捨て。
本人は正常なつもりでいるが、客観的に見ると明らかに狂っている。言動のはしばしからヤンデレ臭を漂わせるが、それが何に起因するかはゲーム本編を参照のこと。
CCCの真のヒロイン。
前半では「愉快犯」として、
後半では「倒すべき人類の敵」として扱われる。
徹底して「人間嫌いの無邪気で残酷な王女」といった振る舞いをするが、その発端は些細な、たった一度の過ちだった。
彼女はある理由からムーンセル(世界)を相手に戦う道を選び、最終的には消滅する事を理解した上で、自分から狂った(暴走した)のである。その真相が明らかに成った時、原因はこう問いかける。
「道理が合わない。それだけの事をしてもらう理由が、価値が、自分にはないからだ」
それは質問でもあり、プレイ中にプレイヤーが抱く共通の疑問だろう。
stay nightで例えるなら、衛宮士郎はセイバーや凛に好意を持たれるに足る行動(ヒロイック性)を見せたが、CCCにおいてはヒロイック性を発揮する機会がなかったからだ。
しかし、人形だったAIは満足げに目を閉じた。
「特別な人間が、特別な言葉で手をさしのべてくれるより」
「どこにでもいる貴方が、せいいっぱいの特別な言葉で笑ってくれた事が、嬉しかった」
優れたヒーローがヒロイックな行動でヒロインを救うのは、確かに誰もが夢見る白馬の王子像だろう。
けれどそれは当たり前のルーチンワークだ。
ヒーローとして作られたものが、与えられた能力値通りの性能を発揮したにすぎない。
それよりもただのモブ(一般人)である『貴方』が、たった一度でも特別な言葉を口にしてくれた事が、彼女には嬉しかった。
CCCは一般人の衿侍の物語でもある。
『永遠にヒロインに選ばれない』AI(桜)にとって、それこそが美しいもの、貴[とうと]い奇跡に見えた。
だから駆けた。38000光年の闇の中を。
……たとえそれが、聖杯戦争の終わりに消え去ってしまう、一時[ひととき]の残像だったとしても。