疑似霊子

ぎじりょうし。
かつて、地上には魂の物質化をはかる奇蹟があったという。しかしそれは1970年代の大崩壊で失われた。以後、自らの終わりを受け入れた魔術師たちは禁忌としていた近代科学を取り入れ、その終わりに、“魂”を新しく定義した。
それが魔術理論・疑似霊子と呼ばれる、“意識の出力先”である。
かつて、意識は肉体を通してしか発露できなかった。
しかし魔術師たちは“魂”の位置を測定し、その出力先を新しい天地───電脳空間の分身[アパター]として写し出す事に成功したのだ。
これによって魔術師は電子世界に己をそのまま転移させ、より高度な情報取得活動を可能とした。
もともと魂は高次元のエネルギー体であり、情報媒体としてもたいへん優れていたのである。
この理論の発表に伴い、新世界ではネットワ:ク技術だけが大きく進展した。
軍事産業は現実世界での兵器開発を凍結された代わりに、電脳世界において有効となる兵器開発にいそしむ事となった。

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