真言立川流の概要

真言立川流の術式、および理論は三つの視点に立脚している。
ひとつめは『理趣経』に基づく自性清浄。
人間の本性や生来の営みは本来清らかな物であり、悟りに繋がる物である。これは誤解されがちだが、欲望を肯定する物ではない-厳密には、惑いや迷いに繋がる欲望は悟りの妨げであるが、衆生の利益を願ったり、そのために自己を保つべく自己保存欲求を持つのは悟りに繋がる欲望であるとして肯定するという考え。
無論この概念は非常に難しく、真言宗の開祖空海をしてほとんどの弟子には教授しなかったという曰く付きのもの。原則的に阿閣梨[あじゃり]以上でなければそも閲覧の許可がない。
ふたつめは、二者の合一による一者への昇華、または帰還という概念。
これは陰陽道の『陰陽結びついて太極となる』という概念から来たもので、おそらくは修験道の天地自然との一体化から験力を得る技法や仙道の房中術、タントリック・ヨーガの手法も導入されているものと見られる。
みっつめが、自己の境界を破壊するする事で、『その向こう』から力を引き出す技法である。
多くの場合は、殺人や肉食、魚食、飲酒などで僧としての自律、理性、倫理観などを崩壊させたという。
(ただしこの技法それ自体は、立川流では実戦されなかったとする説もある)
立川流は、この三種の技法を組み合わせて、「茶枳尼天=大日如来=天照大神」と一体となることを最終目的とするものだった。
すなわち、自らをして宇宙の根本原理そのものとなす事で悟りを得ようとしたのである。
……キャス狐さん、なんか貴方の下の方々、たいへんな事になってますよ……?

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