美遊の母。さかつきひよこ。
月と太陽の両方が入った、なんだか縁起が良さそうなお名前。「ひよこは私の母(ママ)になる人物だった」とは通りすがりの菌糸類のコメント。
朔月家の離れで美遊を出産したのち、ほぼ一人で五歳まで育てた。神稚児が俗世の知識を得てしまうと、どんな願いを持ってしまうか分からない。よって厳しい情報制限の元、子に不自由を不自由と思わせず育てることが鉄則となる。しゃべらず、動かず、思わない子でいさせることが理想。母にとってあまりに辛い試練であるが、朔月家の女は代々この仕事を全うしてきた。いや、仕事ではない。聡明であった陽代子は、それは子への深い愛情に裏打ちされたお家独自の教育法なのだと理解した。彼女もまた、母にそのようにして育てられたのだから。
それにしても、大変な美人さんである。美遊同様、高スペックなお嬢様で、舞踊や生け花、茶道はもちろんのこと、ピアノや水泳、弓道に合気道と、何でもそつなくこなす。暇に飽かせて資格取得にはまっていた時期があるらしく、簿記、司法書士、TOEIC、ボイラー技士、インテリアコーディネーター、ネイリスト、ふぐ調理師等々……特に使い道のない資格をいっぱい持っているとか。
「これからの時代、やっぱりIT資格も欲しいところよね! 一太郎検定試験とかどう!?」
ぱそこん関係はあまり得意ではないひよこちゃんであった。まぁ時代が時代だし?
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